簿記は経理部に必要な資格なのか。何級まで取るべきか。

経理の仕事に役立つ資格と言えば、ズバリ簿記検定が思い浮かぶのではないでしょうか。
知名度も抜群で、経理部に転職・異動の要件として簿記取得が挙げられる会社も多いです。

しかし、どんな資格にも当てはまりますが資格試験と実務は別物。
簿記を持っている=経理部として優秀という訳ではありません。

そもそも、経理部に簿記の資格取得は本当に必要なのでしょうか。
資格学校のパンフレット等では「経理部で働くなら簿記は絶対必要」みたいなフレーズはよく目にしますが、これはあくまで宣伝文句。

必要なのであれば時間とお金を掛けて取得すべきでしょうが、無意味であれば無理して取得する必要はありません。

当記事では、現役経理部員である筆者が経理部における簿記の必要性についてリサーチしました。
私自身、日商簿記2級は取得していますが、簿記1級を取得しようか悩んでいる中、経理部の簿記の必要性を改めて調べてみました。

転職市場において簿記2級は価値あり

転職においては簿記の資格は依然として価値のあるものです。
派遣、パートで経理事務の仕事をするのには簿記3級も有利になりますが、正社員としての転職活動で有利になるのは簿記2級以上。

職務経歴は自由に自分をアピール出来ます。
「自分が企画したアイデアで顧客満足度が5%向上した」
「営業マニュアルを作り変え、チームの売上予算達成へ貢献した」

素晴らしいことですが、こんなことは上手く自分をアピール出来る人なら誰でも作れるエピソードですし、ハッキリ言って嘘を付いても絶対にバレません。

また、たとえ前職で役職者であろうが、社内で表彰されようが、それがどれくらい凄いのかはその会社の人しかわかりません。

その点、資格は嘘を付きません。簿記資格の凄さは全国共通です。
その為、転職や異動などの要件を出すときにふるいにかけるには簿記資格は丁度良いのです。

つまり、経理部への入口としては簿記は役立ちます。
ただし、「簿記を持っているから」というだけで採用に至るケースはなく、あくまで付加価値程度だと考えられます。

勿論、新卒入社時点で簿記2級を持っていれば周囲の就活生とのアドバンテージとなるでしょう。











経理部員の簿記資格取得者

経理部とはいえ、全員が簿記を持っている訳ではありません。
経理部で働く人はどれくらいの割合で簿記検定を合格しているのかを調べたのですが、データを取ることは出来ませんでした。(何か有力な情報をお持ちの方がいれば是非ともご連絡ください。)

「経理部の実態」に関するアンケート調査結果によると、
「簿記資格が入社に有利か?」というアンケートに対し6割の企業が「有利」と回答しております。
6割が有利というデータは私個人的な意見では少ないという印象です。
簿記を持っていなくても実務経験があり、能力が高い人であれば入社には影響しないということでしょうか。
経理実務経験がない人が経理部入社を志望する場合では、この割合は確実に高まるでしょう。

ちなみに私が働く経理部では、12人のメンバーのうち簿記資格取得者は8名。
うち4人が簿記3級。3人が簿記2級。1人だけ簿記1級を持っています。
現役経理部員ですら、簿記1級はなかなかレアです。
また、簿記を持っていない経理部主任もいるところを考えると、簿記の会計知識は必要でも取得はマストではないと言えるのかもしれません。

対外的にはほとんど無意味

基本的には社内にいることの多い経理部ですが、銀行との取引や、社外経理部との折衝、商談に同席したりと社外の人と会う機会もあります。

名刺交換で簿記は役立ちません。
簿記は検定なので1級ですら記載することはありませんから。
TOEIC900点と名刺に書くようなものです。

何かの会話の拍子に、簿記の話になることはありますが、決して多くはありません。
簿記2級は経理部としては持っていて当然くらいのレベルの資格なので、簿記1級を取得していると「凄い!」となり、経理部員としての信頼に繋がる可能性はあります。

名刺に載せて対外的にアピールしたいのであれば、FP(ファイナンシャルプランナー)の方がオススメです。

簿記がないと出来ない仕事はない

たとえば、宅建の資格がないと不動産契約の重要事項説明が出来なかったり、税理士資格がないと税務相談に乗れなかったり…
そういった権利は簿記検定には一切ありません。

経理部としての難易度の高い業務も、簿記に合格しないと出来ないなんて話は聞いたことがありません。
故に簿記がなければ経理の仕事に不利益になることはないのです。

経理部の仕事を覚えやすいことは間違いない

経理部に人事異動で配属された私自身、既に簿記2級資格取得者でした。
異動した初日から決算の繁忙期で、ゆっくりと先輩経理部員から仕事を教わることが出来ませんでした。

ただ、過去に簿記2級を取得していたことから、「あ、これ簿記で勉強したことだ!」と思い出す瞬間は多かったです。
どこの会社の経理も簿記の原則に従って処理をしている為、勉強した知識は必ず役立ちます。

先輩経理部員からは、「すぐに仕訳のイメージを理解してくれるから教えるのは楽だった」と後日談で言われました。
確かに、全く簿記を知らずに経理部に異動していたら…貸借すら理解出来ずに大きく苦しんでいたことが想像できます。

いくら会計システムが進化しても、仕訳が理解出来なければ経理部の仕事は務まりません。

役立つ分野と役立たない分野

簿記2級では商業簿記に加え工業簿記を勉強します。
商業簿記は経理部の実務に直結するので役に立つ一方、工業簿記は製造業の経理以外ではあまり役に立ちません。

ちなみに簿記1級では連結決算を学びます。
大企業でグループ会社を持つ経理部で働く人には実務に結び付くでしょう。

どの資格も同じかもしれませんが、勉強した全ての分野が役立つわけではありません。

転職を視野に入れるなら絶対取得すべき

現在、既に経理部で働いていて簿記資格を持っていない人であれば、実務経験を積みながら簿記も取得することをオススメします。
私の場合は人事異動で経理部配属になる遥か前に受験しましたが、経理を全く理解していなかった為に苦戦しました。
もし経理部で働いていればイメージが掴みやすく、資格取得もスムーズだったに違いありません。

また、実務経験と共に簿記も取得しておけば、他社の経理部への転職の幅も大きく広がります。
今の会社に不満がなくても、いつ会社がリストラをするかも分かりませんし、会社が倒産する可能性もあるので、常に転職は出来る状態にしておくことをオススメします。

社内でも「向上心がある」との評価を受けるでしょう。
会社によっては表彰対象となる場合もあるようです。

もしこれから経理部で働きたいと考えるのであれば簿記資格を取得することはマストと言えます。











結論:簿記は取得すべき。問題は何級まで受けるか。

やはり経理部員にとって簿記は必要不可欠だと考えます。
簿記を持っていなくても経理部で活躍できる人も僅かにはいますが、いずれにしても簿記2級レベルの会計知識は必要です。
それなら、簿記は取っておいて損はないでしょう。

簿記2級までは必要だと思いますが、簿記1級はマストではありません。
経理部としてさらにステップアップしたかったり、連結決算に携わるのであれば取得しても良いと思います。
しかし、独学は効率が悪いので資格学校に通うお金と時間を費やすメリットを見出せるのであれば取得すべきでしょう。
私は現時点では簿記1級は見送っています。

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